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欧米の都市を訪れると必ずお目にかかるのがオープンカフェだ。広い歩道や広場の一角を仕切って、歩道沿いの店舗が店の一部として使っている。疲れた時に休憩のため立ち寄るのもよいし、しばらく行き交う人を眺めていてもいい。統一されたパラソルの群は単調になりがちな都市景観にリズムを与え、回遊性の向上や賑わいの創出にも大いに寄与している。
長い広場文化から考えてさぞ歴史があるのだろうと思っていたが、欧米におけるオープンカフェの歴史は意外に浅く、パリなどの例外を除くと、概ね20〜40年程度だという。つまり、欧米といえどオープンカフェは歴史的、自然発生的なものというよりは、賑わい創出の意図を持った”政策”として実施されているようだ。
国内でも1970年代から同様の試みはなされているが、法的なハードルを越えられるようになったのは最近で、ここ数年でにわかに盛り上がりを見せている。
ここではオープンカフェ等の公共空間活用について、その法的位置づけと経緯・現状を事例と共に明らかにしていく。
INDEX
| [注意!] できるだけ客観的な資料に基づくよう心がけていますが、このページは学術論文、報告書、法令等を私が独自に解釈し、一部推論を交えて書いたものです。従って、やや不正確・不適切な表現、必ずしも問題の本質を突いていない箇所もあるかと思います。そのことを踏まえてお読みください。 |
| また、このページ内の写真は複数の撮影者がいますので、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの枠外とし、転載は不可とします。 |
第1章 オープンカフェが都市にもたらすもの
1−1.オープンカフェの効果
- 道路空間で人間が滞留することで、「賑やかな街」になり、エリアとしての魅力が増す。=賑わいの創出
- 歩き疲れた時に休憩できる施設があると、さらに遠くまで買い物に行ってくれるようになる。=回遊性の向上
- 日本の都市景観は話にならないくらい貧相であるが、1階平面の、人間が直接目にする部分を飾り立てることで、かなりマシにすることが可能である。また、見る対象である広場の中に腰を下ろすことで、自らが見られる対象、すなわち景観の一部になる。=景観の向上
- 公共空間の管理者である自治体は、今までお金(フロー)を生み出さなかった土地(ストック)から現金収入を得ることができる。=公共資産の有効活用による歳入増
オープンカフェの公益性として語られることが多いのは「賑わいの創出」だが、それ以外にもいくつか無視できない効果があることが理解してもらえると思う。
言うまでもなく商業地において最も重要な要素は「歩行者空間の豊かさ」であり、多くの商店街では補助金を得て歩道に石畳を入れたり、アーケードをかけたりしている。さらに歩道を使ったオープンカフェやイベントを実施すれば、商業地の活性化・ブランド化に大きな相乗効果が出せるはずだ。
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#1:横浜市日本大通りのオープンカフェ。高級感のあるパラソルの群れと滞留する人々の景は都市空間に厚みを与え、景観を向上させる。もちろん商業的なメリットもある。 |
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#2:広場に面したオープンカフェ(フィレンツェ)。欧米人はよほど外が好きなのか、暑くても屋外席から埋まっていく。屋外席が満席のレストランで、暑さに負けてエアコンの効いた室内に入ったら中はガラガラということもよくあった。 |
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#3:ナボナ広場(ローマ) |

#4:ナボナ広場 |
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#5:似顔絵描きやストリートパフォーマンスも公共空間利用の一つ |

#6:果物を売る露店。日本だと自動販売機が並ぶだけのつまらない景になりがちだ |
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#7:アムステルダムのトランジットモール。自動車が入ってこないから道路沿いでもくつろげる。 |

#8:シエナのカンポ広場。もし1階平面に滞留空間が無ければ寒々しい広場になってしまうだろう。 |
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#9:東京・汐留の”なんちゃってイタリア”な広場。こういう広場は使ってナンボだ。ぜひオープンカフェが欲しい。 |
1−2.エリアマネジメントへの組み込み
日本でも「エリアマネジメント」の概念が広まりつつあるが、アメリカでは既にBIDという制度があり、中心市街地において地域管理組織(地権者・行政・専門家で構成)がビルオーナーから管理料を(なかば税金のように)徴収し、地域に再投資する仕組みが整っている。事例によっては道路管理・治安維持・不動産事業など、デベロッパーや行政の仕事に近いことまで一括して引き受け、地域のブランド化に貢献している。
右の写真はデンバー市の16thStreetMall。道路をトランジットモール化してバス(無料)以外の車を排除し、広くなった歩道をオープンカフェ等に活用している。
このようにハードの整備とソフトの整備をBIDの枠内で一体的に行うことで、ショッピングセンターに負けない魅力的な商業空間づくりが可能になる。オープンカフェ等の公共空間活用は、一つの有力な手段というわけだ。
ここまでの説明で、オープンカフェの価値について大まかに理解して頂けたと思う。
2章では公共空間のうち、まず道路について活用上の課題と経緯・現状について解説する。 |
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#10:16thStreetMall |
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第2章 道路の活用 その法的位置づけと経緯・現状について
日本国内においては、ヨーロッパで見るような公共空間(道路・公園・河川・公開空地など)を長期間占用するオープンカフェは不可能という状況が長く続いていた。
2章では、公共空間活用のうち、特にハードルが高い道路上でのオープンカフェに絞って、その経緯を順に見ていくことにしよう。
2−1.道路でのオープンカフェはなぜダメだったか
まず、道路を使う場合は図#11に示すように道路管理者による「道路占用許可」と所轄警察署長による「道路使用許可」の二つが必要だ。しかしながら、道路法・道路交通法のどちらにもオープンカフェについては該当する記述がないため、OKなのかダメなのか断定はできない。つまり、個別具体のケースごとに協議(話し合って納得してもらうこと)が必要になる。
というわけで全国各地の意欲ある自治体がオープンカフェ実現へ試行錯誤を繰り広げた結果、越えなくてはいけないハードルが明らかになった。
道路でのオープンカフェを阻む3つのハードル(青字)
(ハードル1)法令の想定外の事項であり、実現にはその都度法解釈と協議が必要。
道路管理者(自治体)の気持ち…
オープンカフェのような道路上の常設店については、道路法に該当する記述がなく、許可なのか禁止なのか、どうしていいやら分からない。 |
(ハードル2)道路占用許可のためには、フリーライダー批判に対応できる理屈が必要。
道路管理者(自治体)の気持ち…
みんなの共有物である(=税金を使って整備した)公共空間を使って自分だけ儲けるのは、フリーライダー(ただ乗り)にあたり不公平になる。行政として不公平が生じることは推進できない。
例えば、飲食店Aは自分の敷地内で店を営んでいるが、隣の飲食店Bは自分の敷地だけでなく、目の前の歩道を占拠しテーブルを並べて多くの客を取っている。この場合Aは 「客をたくさん入れたいなら相応のお金を払って広い店を持つべきで、道路を使うなんてアンフェアだ」 と主張するに違いない。 |
(ハードル3)警察は、原則として交通阻害要因となるものに道路使用許可を出さない。
警察の気持ち…
警察としては、道路交通法に基づきスムーズに交通を流すことに注力しており、道路は滞留ではなく通行するためのものと捉えている。オープンカフェのように、道路幅を狭め交通に支障を及ぼすような行為を認めることは、「道路交通法に基づいた職務をしなくてはいけないのに、法の趣旨に背く行動を取っている」
ということになり理屈が立たない。また、自分の所轄内だけ他と違うことをするわけにはいかない。 |
「ハードル2」について補足すると、道路を占用する場合は決して無料ではなく、自治体が条例で定める「占用料」を納める必要がある。しかし占用料は適正な水準の額になっているとは言い難い。逆に言うと、店舗から適正な占用料を徴収する仕組みを整えれば不公平感は解消できるので、この問題は解決する。
ただ、まわりをよく見てみると、商店街でのはみ出し陳列など違法行為であっても行政が黙認していると推測されるケース(写真#12)が多く、屋台のように既得権として1代限りの道路占用を認めるケースもある(呉市のように新たな屋台経営者を公募するケースもある)わけで、どういう政策を採用するかは総合的な判断になる。
「ハードル2」は決して高いハードルではない。なぜなら、自治体の役割は「道路管理」だけでなく「まちづくり」もあるためだ。要するに、まちづくり課なり企画課なりが道路管理課を説得する「庁内調整」をやってくれれば何とかなる。
最も厄介なのが「ハードル3」だ。警察は組織内に「まちづくり担当者」を抱えているわけではなく、道路交通法に基づく職務に専念する以外の意識を持ちようがないため、担当者がいくらいい人でも、一般的にかなり厳格な指導をする傾向がある。
ただし注意したいのは、厳格とはいえ、一切ダメではないという点だ。例えば地域の祭りで道路を使う場合はほぼ確実に許可が出る。これは、「交通を妨害する恐れがないもの、交通を妨害する恐れはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないもの」 については原則許可せよと決まっているためだ。
そこで、意欲のある自治体はまず社会実験を行い「交通を妨害する恐れが低い」ことと「公益性が高い」ことを証明して、警察を説得するという方法を取ることになった。幸い、国交省と警察庁が後押しをしてくれたおかげで警察の指導にも柔軟性が出てきており、「ハードル3」も以前ほど高いものではなくなっている。
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| 公共空間※1 |
許可 |
許認可を出す人 |
根拠法令 |
| 道路 |
道路占用許可※2 |
道路管理者
(市道なら市) |
道路法 |
道路使用許可※2
(私道にも適用) |
所轄の警察署長 |
道路交通法 |
| 公園 |
公園占用許可 |
公園管理者
(市の公園なら市) |
都市公園法 |
| 河川 |
河川占用許可 |
河川管理者
(国または自治体) |
河川法 |
| 公開空地 |
一時占用届※3 |
都知事
(東京都の場合) |
東京都総合設計
許可要綱※3
(東京都の場合) |
#11:公共空間の種類と許認可権者
※1:公開空地については民有地であるが、建築基準法に基づいた行政の許可をもって設置される公共性の高い空間であり、その活用も通常の私有地とは異なり行政からの縛りを受けるため、公共空間の一種として扱っている。
※2:国交省のガイドライン(2005年)と警察庁通達により、国として「オープンカフェは禁止すべきものではなく推進すべきもの」との判断が明確に示され、法解釈と協議の道筋も見えてきたので、以前のように協議に苦労することはなくなりつつある。
※3:公開空地については東京都のケースを記載(一般的には”特定行政庁”)。ちなみに東京都の場合は一定の条件を満たす大規模案件であれば「しゃれた街並みづくり推進条例」を使って公開空地占用の自由度を広げることができる。
※4:飲食店の場合は占用許可だけでなく保健所による「飲食店営業許可」が必要。屋外であるため衛生面での協議を求められることがある。 |
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#12:東京・某所の路面店。歩道の一部(上の写真だと左端)にテーブルや空き箱が置かれ、飲食空間になっている。道路占用状態だが、恐らく合法ではないものと推測する。一方的に取り締まるよりはルールを決めて認めていく方が良い結果につながると思う。

#13:東京国際フォーラムのネオ屋台村。昼休みの時間だけ数台のワゴンを並べて昼食を提供する。マネジメントはイベント会社が行い、国際フォーラムに対して出店料を支払う。この空間は「ただの私有地」であり、公共空間(道路・公園・公開空地等)ではないので、このように占用しても何ら問題ない。 |
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2−2.道路でのオープンカフェ実現への模索
では、意欲ある自治体の模索とはどんなものだったか、手元に資料のある広島市の事例を中心に見ていくことにしよう。
2−2−1.広島市 平和大通り
広島市でのオープンカフェ社会実験は道路を使ったものと河岸緑地(河川区域)を使ったものの二通りがある。前者は平和大通りを使った実験(1998〜2001年)、後者は元安川・京橋川にて2006年現在も継続されている。河川については3章にて解説するとして、ここでは平和大通りオープンカフェを取り上げる。
平和大通りのケースが社会実験という形を取ったのは以下のような理由がある。
- 法令に該当する記載が無く、前例も無いため、どのような問題が発生するのか、どのような効果があるのか、経営的に成立するのかを予想できない。まずは実験を行い、どのような仕組みが必要なのか考える材料としたい。
- 最終的には道路法・道路交通法等の改正を国に要望したいが、そのためには「国民は改正を望んでいる」ことを立証しなくてはならない。だが、オープンカフェは体験してみないと良さは分からないし、実はニーズが全然ないかもしれないので、実験的に実施し市民(店舗・客の双方)の意向を探りたい。
- 期間限定の実験ならば「お祭りみたいなもの」として警察の理解を得やすい。
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■三つのハードルの克服
道路を使う上での三つのハードルをどう克服したかについて、再度見ておこう。この当時は警察庁通達もなく、市と県警の協議は難航したようだ。
オープンカフェ実現を阻む3つのハードル(青字) + それを社会実験でクリア(赤字)
(ハードル1)法令の想定外の事項であり、実現にはその都度法解釈と協議が必要。
社会実験として、とりあえずの判断・解釈で行う。 |
(ハードル2)道路占用許可のためには、フリーライダー批判に対応できる理屈が必要。
道路管理者自らが参加している実行委員会が道路占用許可を取得するので、事業の公益性は証明でき、またフリーライダーが発生しないことは明らかである。 |
(ハードル3)警察は、原則として交通阻害要因となるものに道路使用許可を出さない。
まず実施場所として、十分な幅員を持つ歩道が選ばれている。また、実行委員会は交通を阻害しない配慮をすると警察に約束する。更にこれは常設ではなく期間限定である。
(※最終的に県警は社会実験ということで許可を出したが、実施にあたって違反駐車の防止や暴走族対策を求めている) |
さて、平和大通りの事例の新しいところは、「ハードル2」に引っかかるはずの、民間の営利事業者(以下、民間事業者)による公共空間でのオープンカフェ営業が事実上実現したところにある。
1999年度オープンカフェの事業スキーム(図#16)を見てみると、広島市と民間事業者の間に主催者として半官半民の「平和大通り有効活用実行委員会(以下、実行委)」という組織を入れていることが分かる。民間事業者はそのノウハウを活かして魅力的な店作りを行い、公共空間を利用する対価として実行委に対し出店料を払う。そして実行委は広島市から道路占用許可を得て、市に対し道路占用料を払う。出店料は道路占用料相当額であるというから、これは事実上、行政が公共用地を有料で民間事業者に貸し出し、飲食店を営業させたことになる。巧妙な方法でフリーライダー批判に対応しているわけだ。
行政に飲食店を経営させても魅力的な店作りなどできないことは自明であるので、オープンカフェを本格的に実施する気があるなら民間を参入させることは必要不可欠だ。民間事業者に代わって実行委員会が占用許可を取得するスキームは国交省のお墨付きを得たわけで、今後全国標準となっていくだろう。
なお、民間事業者から占用料を徴収する目的は先に述べたようにフリーライダーの防止であるが、市としても手持ちの公共空間がお金を生み出すのは魅力的なはずだ。現にパリ市ではオープンカフェ等からの収入が歳入に大きく貢献しているという。公共空間の管理者として、そのくらいのしたたかさはあって然るべきだ。
■来店者の評価
ちなみに、非営利の社会実験として実施した1998年度での来店者アンケート調査(N=1500)結果によれば3)、オープンカフェを良いと感じた人は88%、今後さらに増加して欲しいと回答した人は91%であったという。
- オープンカフェの感想
とてもよい…46% よい…43% よくない…3% その他…8%
- オープンカフェの増設について
増やしてほしい…91% 必要ない…2% その他…7%
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#14:広島市が発行していた小冊子(参考文献 1) )。書かれた当時と今では状況が違うので注意されたい。(クリックすると拡大表示します)
| 実施年 |
1998年(初年度・試行) |
1999年 |
| 実施主体 |
「平和大通り有効活用実行委員会」が主催 |
| 実施場所 |
平和大通り緑地帯(広島市中区小町)
平和大通りは広島市が管理する道路。幅員100m。緑地帯も道路の一部 |
| カフェ名称 |
カフェ・ド・ヴェール |
(1)カフェ・ド・アサヒ
(2)ガーデンテラス |
| 運営形態 |
実行委員会の直営 |
実行委員会から民間へ運営委託 |
| 座席/面積 |
160席/838平米 |
(1)100席/800平米
(2)140席/700平米 |
| 期 間 |
8/20〜9/18 |
(1)8/1〜9/30
(2)8/1〜9/25 |
| 営業時間 |
平日17:00〜21:00
土日13:00〜19:30 |
平日17:00〜21:30
土日13:00〜20:30 |
| 来店者総数 |
9970人 |
19472人(2店) |
| 備 考 |
店舗内のステージで市民ライブを実施
土日には隣接の緑地帯でフリーマーケットを開催 |
店舗数、期間、営業時間を拡大
ライトアップ演出の実験を行う |
#15:1998, 1999年度の実施内容 (参考文献 1) から転載)
#16:1999年度の事業スキーム (参考文献 1) をもとに作成)
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■なぜ終わってしまったのか
オープンカフェについて認知度を高め、おおまかな合意を取り付けるという意味において、この社会実験はほぼ目的を達した。続いて1999〜2001年にかけては先程述べたように民間事業者を入れた観光事業として実施され、マスコミに大々的に取り上げられ、好評を得たにも関わらず、2001年で終了してしまった。その理由としては…
- 平和大通りオープンカフェでは、道路に面した店舗の厨房を使うのではなく、敷地内に仮設の厨房を建設した。ところが、厨房施設には相応の費用がかかるにも関わらず営業は夏期のみであるため、採算割れしてしまう。市による占用料の徴収は極めて甘く行われたが、それでも事業として成立する見込みが立たなかった。
- 周辺の飲食店から営業妨害であるとの苦情が出た。
- オープンカフェには賑わい創出という公益性があることを、行政自ら参加することで証明し、警察の理解を取り付けるのが目的の一つであったが、県警からはこれ以上オープンカフェを拡大することを認めないとの見解が示された。つまり警察は
「市は毎年実施することで既成事実化し、なし崩し的に広げるつもりかもしれないけど、それは許さないよ」
と言っている。警察の理解を得るのは不可能ということが明らかになった以上、続ける理由がなくなる。
(※現在では警察庁通達が出ているので、県警も非協力的な態度はとらないと思われる)
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終了したのは残念であるが、市民の間にニーズがあることは明らかになったし、同時に課題も明確になった。
まず、上記の1と2について。これは道路に面した飲食店にオープンカフェ経営を任せれば一挙に解決する(横浜市日本大通りではこの方式)。沿道の店舗個々の経営判断で設置するなら、行政臭くないハイセンスな仕上がりになることも期待できる。営利事業者に自由に店作りをさせ、個性派カフェを集積させるくらいのムーヴメントに育てなくては(博多の屋台くらいの集積度が欲しい)、外から客を呼べる都市観光資源には育たないであろう。3(警察対応)のハードルも当時に比べれば下がっているはずで、残すは近隣の合意形成のはず。市にはぜひ再チャレンジしてもらいたいところだ。
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■おまけ: 道路区域変更による道交法適用除外(私案)
これは全くの私案だが、平和大通りくらいの幅員があれば、道路だった場所を公園に変えることで「ハードル3」を無くしてしまうという裏技もなくはない。
具体的には、まず平和大通りのうち木が植えられている部分の用途を「道路」から「公園」に変更する(図#17のFigB)。どうせなら建物の目の前の歩道も公園に変更したいところだが、建築物が道路に接しなくなってしまうのでそれは不可能。そこで、目の前の道路をハンプなどによって車を徐行させる「コミュニティ道路」とすることで、接道を確保しつつもカフェを中心とする滞留空間の一体化を狙う。
用途が公園になれば道路交通法の適用外となるので、警察に道路使用許可を求める必要はなくなる。平和大通りは都市計画道路なので、区域変更にあたっては単なる管理替えではなく都市計画変更手続きが必要だが、呉市蔵本通り(後述)のように実際に都市計画変更をやった事例もあり、非現実的とまではいえないはずだ。
もちろん国交省と警察庁の通達が出た現在では、オープンカフェのためにそこまでやる必要性は薄れているが、県警の意向によっては検討の余地はあると思う。
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#17:平和大通りの現状(FigA)。裏技として公園への用途変更(FigB)があるが実現は容易ではない。最も好ましいのは警察が歩道使用を認め、歩道を拡幅するパターン(FigC)。 |
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2−2−2.名古屋市 久屋大通り
久屋大通りは平和大通りと同じく戦災復興時の100メートル道路である。2000年から歩道を活用したオープンカフェが実施された。平和大通りの事例は道路区域とはいえ公園のような場所であるが、久屋大通りオープンカフェは歩行者が利用する歩道での実施であり、警察協議のハードルはより高かったと思われ、初年度は道路使用許可が下りないまま実施されている。
実施スキームは右の通りであり、実行委員会形式ではない。道路管理者である名古屋市が道路の付属物を置く(ガードレールを設置するのと同じ)という形を取っているため、道路占用にはあたらないとの解釈がなされている。オープンカフェは休憩所という扱いであり、テイクアウトしたものを食べることはできるが、平和大通りのような店舗ではない。テーブルやパラソルの代金は市が負担し、沿道の店舗はテーブル等の出し入れや清掃を担当した。
市民には好評であったが、無料の休憩所では必要なコストを賄うことができないため、営利事業者への開放という課題を残したと言える。また、歩道のうち4mを通行用にして残りの部分をオープンカフェ用地としたが、果たして4mが適切であるかも今後の検証が待たれる。 |
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#18:名古屋市久屋大通りの実施スキーム(参考文献18)より転載) |
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2−2−3.横浜市 鶴見西口
鶴見駅前の歩行者専用道での事例。見た目には広場である。
放置自転車問題をきっかけとして、地元主体のオープンカフェを実施している。以前から歩道や植栽の管理を道路管理者に代わって西口協議会が行ってきた実績があるため、横浜市が参加していない地元協議会であっても警察から道路使用許可を得ることができている。
この事例でもオープンカフェは休憩所であり飲食店ではない。だが、広島や名古屋のような都心部の魅力アップという目的とは違う、このような商業色の薄いコミュニティ活動系オープンカフェというのも十分に意義のあることだと思う。地域によっては「地産地消」をテーマにして、地元農産物を使ったメニューの提供といった展開も考えられるだろう。
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#19:鶴見西口
#20:鶴見西口の実施スキーム(参考文献18)より転載) |
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2−2−4.呉市 蔵本通りの屋台
屋台は不法占用を黙認する形で何となく存続するケースが多いが、呉市では屋台を蔵本通りに集約して合法化し、さらに新たな屋台を公募するという、全国的に見て極めて珍しい積極的な政策をとっている。
注目すべきは、新規屋台の公募に合わせて2002年に蔵本通りの屋台設置箇所を道路から公園に用途変更(正確には道路+公園のダブル用途を公園のみに変更)し、道路占用許可と道路使用許可を不要としたことだ。「屋台のための都市計画」を実現させたことになる。
また、ハード面の支援もなされており、蔵本通りには屋台のための電気・水道がわざわざ用意(ガスは各自でプロパンを持ち込む)されている。
制度的な担保は、公募にあわせて定められた「蔵本通りの屋台に関する要綱」が担っている。屋台営業に伴う使用料は、屋台1店あたり12630円/月(公園使用料および屋台収納場所使用料。水道光熱費別)である。
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施策の方針
呉市の観光の振興や街のにぎわいづくりに資するため、次の方針に基づき蔵本通りの屋台の再生を図るものとする。
(1)屋台設置場所を道路区域から除外し、呉市都市公園条例の許可により新たな屋台営業を認めることとする。
(2)新たな屋台営業者は公募するものとする。
(3)屋台営業に伴う課題には、関係機関等と屋台組合が連携し対応するものとする。
(4)施策の基準を定めた要綱を制定するものとする。 |
#21:呉市の屋台施策
#22:呉市の実施スキーム。実行委員会方式ではなく、営業許可(呉市都市公園条例第4条第1項で定める許可)は個店で取得する。
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2−3.道路でのオープンカフェを巡る昨今の状況
2−2で書いたように、意欲ある自治体の取り組みによって実績が作られた結果、国交省のガイドライン(2005年)と警察庁通達(2004〜2005年)が相次いで出された。法改正まではいかなかったが、「オープンカフェは禁止すべきものではなく、推進すべきものである。」という意思を国が示した意義は極めて大きい。
というわけで国の見解を要約して緑色の文字で記してみた。
道路でのオープンカフェを阻む3つのハードル(青) + 国の見解(緑)
(ハードル1)法令の想定外の事項であり、実現にはその都度法解釈と協議が必要。
・オープンカフェは道路占用許可の対象物としてよい。
・期間限定ではなく長期間の占用も可能。 |
(ハードル2)道路占用許可のためには、フリーライダー批判に対応できる理屈が必要。
・道路占用許可は、「自治体自身」「自治体が参加している組織」「自治体が支援している組織」のいずれかが取得すること。
・実施にあたっては、近隣対応など、公益性を損なわないよう注意すること。
・占用料相当額の「利用料」を民間事業者から徴収しても構わない。 |
(ハードル3)警察は、原則として交通阻害要因となるものに道路使用許可を出さない。
・確かにオープンカフェは交通を阻害するというマイナス面はあるが、地域づくりというプラス面もある。所轄の警察署長は道路管理者と連携し、プラス面とマイナス面双方をよく考えて判断せよ。 |
三つのハードルは消えたわけではないのだが、ハードルを越えるための道は開かれた。
横浜市日本大通りのオープンカフェは国交省ガイドライン後に本格開始された新しい事例だ。地元主体で活性化委員会(公式サイト)を立ち上げ、沿道店舗がオープンカフェを経営している。商業性と公益性のバランスが取れており、ほぼ完成形と言えるだろう。2007年も長期にわたって実施されるので、興味のある人は足を運んでみてはいかがだろうか。 |
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国交省ガイドライン後の事例:横浜市日本大通りオープンカフェ

#23:国交省ガイドラインが出たおかげで、広島市平和大通りでの社会実験時に比べて自由度が広がってきた。店舗の独自性が発揮されたおかげでヨーロッパの諸都市に見劣りしない水準のオープンカフェが実現している。

#24:沿道店舗が地先のテラス席を店舗の一部として経営する。距離感はこんな感じ。 |

#25 |

#26 |
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第3章 河川区域の活用(広島市の事例)
平和大通りと共に広島市が持つ公共空間に河岸緑地がある。河岸緑地は法律上「河川」であり、道路ではないため道路交通法は適用されない。広島市の庁内調整と、河川区域を管轄する国交省(or県)の許可が出れば実現できるので、道路を使うオープンカフェよりはずっとハードルが低い。
3−1.地先利用型(京橋川)
京橋川河岸は 河川−河岸緑地−建物−道路 の順番に並んでいる(図#27のcase2)ので、緑地に接する店舗にオープンカフェ経営を任せることが可能だ。このエリアの場合、もともと地元の町会が緑地の美化活動等を積極的に行っていたこともあり、町会および関係団体で「上幟町東・京橋川水辺のまちづくり委員会」を組織し、市がサポートしている形で運営している。
委員会は広島市から公園使用許可を、広島県(河川管理者)から河川占用許可を得て、河岸緑地に接する2つのホテルにオープンカフェ運営を委託する。ホテルはオープンカフェで得た収益を委員会に還元し、委員会の活動費(イベント開催など)に充てられる。なお、河川区域内での営利事業は本来できないが、国が特例として認めている。
実際にカフェを経営するのは「ホテルJALシティ広島(写真#25-27)」「ホテルフレックス(写真#28)」「RCC文化センター」の3事業者。
「ホテルJALシティ」については、公開空地と河岸緑地を一体的にウッドデッキで化粧し、オープンカフェ用地としているのが興味深い(図#27のcase3, 写真#29-31)。
(公開空地については4章を参照)
また、「RCC文化センター」は既存ビルの河岸緑地側の壁を抜いて出入口を新設しカフェを置いた事例で、これもかなり面白い。
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#27:河岸緑地の3ケース。
case1 … 元安川と京橋川の独立店舗型はこの形。間に道路があるので、近くの店にオープンカフェを経営してもらうのは難しく、独立店舗を河岸緑地内に置くしかない。
case2 … 京橋川の地先利用型はこれ。緑地に接する店舗にカフェを経営してもらう。
case3 … 同じく京橋川河岸緑地に接するホテルの公開空地と河岸緑地をあわせてオープンカフェ用地としたもの。 |
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#28:ホテルフレックスの1階カフェ。レンガ舗装部分は河岸緑地(河川区域)。ホテルJALシティのような統一感のある仕上げならもっと良くなるはず。 |
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#29:ホテルJALシティ。公開空地と河岸緑地をまたぐ形でオープンカフェを設置している。 |

#30:すぐ近くに川を感じることができる。 |
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#31:公開空地にある表示。ウッドデッキの真ん中を官民境界線が通っている。 |
3−2.独立店舗型(元安川・京橋川)
元安川は河岸緑地と建物の間に道路があるので(写真#27のcase1)、河岸緑地内に小型店舗「オクトカフェ」を置いて飲食をサービスする形式を取っている。(写真#32,
#33) オクトカフェ設置当時は河川区域での営利事業が認められなかったため、ここの経営は民間事業者への委託でなく実行委員会の直営である。
一方、2005年10月からスタートしたのが京橋川での独立店舗型オープンカフェだ。先程紹介した地先利用型オープンカフェでは事業者が3つしかなく、集積とは言えない状況であった。そこで
河岸緑地の広い部分を選んで新たに屋台のような形の店舗を4つ設置し、コンペで選定した民間事業者に経営を任せることになった。本来河川区域での継続的な営利事業はできないのだが、国の都市再生プロジェクト選定を経て国交省から特例措置としての許可を受けたことで、民間事業者の参入が可能となった。(写真#34,
#35)
社会実験は数年間継続される予定であり、よほどの問題が生じない限り恒常化されるだろう。駅前再開発との連携も模索されており、他の河川にも広がっていく気配が見られる。オープンカフェを前提とした護岸デザイン、建築デザインに波及してくると新たな展開になっていくと思う。
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#32:元安川河岸緑地全景 |

#33:オクトカフェ |
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#34:京橋川の独立店舗型オープンカフェ |
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#35:このように夜間も営業している。(写真提供:(財)広島観光コンベンションビューロー) |
| 今現在、少なくとも河岸緑地の活用では間違いなく広島が大阪と共に全国の先頭を走っている。ただし大阪は道頓堀という既存繁華街の活性化であるのに対し、広島は京橋川という小規模オフィスやマンションが建ち並ぶ人通りの少ない場所での実施という点に特徴がある。もし京橋川岸にうまくカフェを集積させ、河岸に人が増え、エリアがブランド力を持つようになれば、大阪とは違う「広島方式」として全国に広まっていくことになると思う。賑わいといえるだけの密度を達成できるか、地域社会との共生を図っていけるかが今後の課題になるだろう。(整備イメージ:写真#36) |
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#36:シンガポールのボートキー。ここまで高密だとかなりの「賑わい」効果になる。公共空間は”使ってナンボ”だということがよく分かる。
親水護岸全てをこうしろとは言わないが、これが正しい使い方の一例であることは間違いない。また、こういう使い方を想定して親水護岸を設計することで、河川空間の質をより向上させることも可能だろう。 |
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第4章 公開空地の活用
公開空地は建築基準法第59条の2で定められた「総合設計制度」に基づいて設けられる。総合設計制度を活用すると、公開空地の確保・住宅の確保・壁面後退などの見返りに容積率や斜線制限の緩和を受けることができる。公開空地は道路や公園と違って私有地ではあるが、容積緩和の根拠となっているために、一般への開放が求められる”公共的な空間”という扱いになっている。なお、総合設計制度の詳細は許可を出す特定行政庁、つまり都道府県や政令指定都市ごとに決められている。
公開空地は人通りの多い都心部に設けられることが多く、公共性の高い空間であり、しかも道路と違って占用しても歩行者交通への影響が少ないので、本来はオープンカフェに最も適した場所であるはずだが、総合設計制度はオープンカフェのような恒常的な公開空地活用を想定していないため、結局一時的なイベント程度にしか使われない寒々しい空間となっているケースがほとんどだ。
東京都の場合は「東京都総合設計許可要綱」により運用されているが、公開空地占用には都知事の許可が必要であり、制限も厳しく、営利活動はできない。都は2003年に「東京のしゃれた街並みづくり推進条例(通称:しゃれ街)」を施行し、一定規模以上の開発において「まちづくり団体」として登録されれば公開空地占用の自由度をある程度まで広げることが可能になった。しかしながら適用要件が厳しく、多様な関係者がいる場合の合意形成も難しいことから、適用事例は少数にとどまっている。
広島市の場合は、前述の「ホテルJALシティ」で公開空地をオープンカフェ用地として活用させ、河川区域と一体的にウッドデッキで化粧するという、東京の制度しか知らない私から見ると驚くべきケースが実現していたわけだが、その他の公開空地についても活用を認めるべく試行を始めている。(2007年5月現在)
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おわりに
オープンカフェについて国の方針が出たことで、コモディティ化が進むことは間違いない。
実施にあたっては営利事業者を参入させて商業活性化や観光促進を狙う方法もあるし、市民交流の場づくりや地産地消などの「コミュニティ活動系オープンカフェ」もアリだ。
どちらにせよ、公共空間活用はアイディア次第でお金をかけずに賑わい創出が可能であることから、”お金はないけど公共空間ならある”地方都市の中心市街地活性化において極めて有効なツールとなるだろう。どういった活用のされ方をしていくか、今後も各地の動向を注視していきたい。
最後に、公共空間でのオープンカフェ実施に必要そうなものについて、簡単に列挙しておく。
【必要なもの1: 実行委員会の結成】
必ずしも自治体が参加する必要はないが、各種許可を得るためには自治体が支援する組織と位置づけることが必要。結成前に地元町内会・商店会などの合意形成を行っておくことは言うまでもない。
【必要なもの2: 官民の役割分担、自由な参入退出を保証するルール(協定・覚書等)】
これは実行委員会を作る際にあわせて定めることになるだろう。
- まず自治体が、公共空間の中で「許可区域(オープンカフェを設置してもよい公園・河岸緑地・道路)」を指定する。道路については自治体と警察が協議の上決定するが、その指定基準は「オープンカフェがあっても交通への影響が少ないこと」すなわち幅員・交通量・交通指導員の配置などを総合的に判断するべきだろう。(歩道のクリアランスについては、名古屋市4m、パリ市1.6〜2.2m、コペンハーゲン市1.5〜2m)
- オープンカフェを設置できるのは、許可区域内の飲食店・物販店とし、保健所との協議と実行委員会の審査を経て実行委員会から指定を得た事業者に限る。事業の営利・非営利は問わない。
- 実行委員会の指定の有効期限は1年とし、毎年更新する。
- 道路の場合、占用区画面積の上限は 間口×一定幅 とする。
- 事業者がオープンカフェのために公共空間上に置くテーブル等は、閉店時に建物内に収容しなくてはならない。
- 事業者が用意するパラソルやテーブルの色・素材は、街路をデザインするマスターアーキテクトの指示に従わなくてはならない。
- 事業者は、占用区画の清掃に務めなくてはならない。
- 事業者は、占用区画面積に応じて自治体が定める占用料(あるいは実行委員会が定める出店料)を支払わなければならない。
- 事業者は、公共空間で発生する事故に備え保険に加入しなくてはならない。
- 事業者がルールに違反し、改善要請に応じない場合、実行委員会は事業者に対する指定を取り消すことができる。
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【必要なもの3: 適切な占用料の設定】
周辺の賃料をベースに、天候リスクを加味したものを占用料(出店料)とし、許可区域毎に設定する。なぜ天候リスクを加味するかというと、オープンカフェは冬季や雨天では商業床としての価値が減ってしまうためだ。 |
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[参考文献・サイト]
1) 広島市企画総務局企画調整課 「にぎわいづくり1998-2000 広島の実践から
公共空間の新しい活用に向けて」
2) 平和大通り有効活用実行委員会(1999)「カフェ・ド・ヴェール 平和大通りオープンカフェテラス試行報告書」
3) 広島市企画総務局企画調整課(2003)「にぎわいづくり1998-2002 公共空間の有効活用に向けて
その手法と実践-社会実験の成果から」
4) 日本政策投資銀行地域企画チーム編(2001)「中心市街地活性化のポイント」ぎょうせい,
pp99-105
5) (財)都市づくりパブリックデザインセンター、都市環境デザイン会議(2002)「都市の魅力と公共空間活用」
6) 世界のカフェテラス http://www.nagoyanet.ne.jp/cafe/
7) 広島市ウェブサイト 「水の都ひろしま 水辺のオープンカフェ」
8) 東京都都市整備局ウェブサイト http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/
9) 横浜市都市整備局ウェブサイト http://www.city.yokohama.jp/me/toshi/
10) 日本大通りスペシャルサイト http://www.nihonodori.jp/
11) 広島・都市観光の創造 http://www.geocities.jp/hiroshimusica/index.html
12) 国土交通省道路局(2005)「道を活用した地域活動の円滑化のためのガイドライン」
13) 警察庁通達(2005)「民間事業者等による経済活動に伴う道路使用許可の取扱いについて」
14) 渡辺直(2005)「公共空間の屋台政策に関する研究−福岡市と呉市を事例に−」 日本都市計画学会都市計画論文集No40-3
15) 近畿大学工学部建築学科空間創造研究室「夜の観光資源としての屋台の活性化に関する調査研究」
16) 天明周子・小林重敬(2006)「エリアマネジメントの視点から見た「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に関する研究−公共空間の活用を中心に−」 日本都市計画学会都市計画論文集No41-3
17) 加藤浩司・渡辺直・井澤知旦・北原理雄(2000)「欧米における街路空間の公共利用制度に関する研究−6都市のオープンカフェ運用を事例に−」 日本建築学会計画系論文集第530号
18) 井澤知旦・浦山益郎・清水奈緒(2004)「道路空間(歩道)の地域共同管理の可能性に関する研究−公共空間の公共一元管理から地域共同管理・運用への移行に関する研究−」 日本建築学会計画系論文集第576号
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