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透明な消防署
DATA
■設計:山本理顕設計工場
■所在地:広島市西区都町43-10
■用途:消防署
■竣工:2000年
■敷地面積:1,718m2 建築面積:1,326m2 延床面積:6,245m2
■構造:S+SRC造
付近の地図(mapion)
平和大通り沿いに建つ消防署。有名建築家を起用し公共施設を整備する「ひろしま2045平和と創造のまち」プロジェクトの一環として建設された。
この建物は誰でも内部を見学することができる。というより、見学者を招き入れることが建築の目的の一つとなっている。事務室も研修室も全てがガラス張りになっており、文字通り「開かれた」消防署を指向していることが伝わってくる。(※入れない部屋もあるので、受付で見学可能なゾーンについて確認すること)

外観上の特徴は雨を遮り風を通すルーバーだ。この外壁に沿って通路(photo#4)があり、さらにその後ろにアトリウムや事務室が設置されている。基本的に全ての部屋が全面ガラス張りであり、床にはグレーチングが多用されているので、建物の奥深くまで光が届く。しかしながら、光が奥まで届くということは、夏の空調費がかさみ、より多くのCO2を出すことになるわけで、現代(2000年代後半)のトレンドでは「透明で明るい」だけではむしろマイナス評価されてしまう。ここまで透明感を強調したデザインは1990年代だからこそできたと思う。

内部空間における最大の特徴は大ボリュームを持ったアトリウム。金属の質感が見事に引き出されたデザインはなかなか見応えがある。この空間は訓練の場として使われることを想定しており、運が良ければ頭上をスルスルと綱渡りしている様子を見ることができる。

一方、苦言を呈するとすれば、実際に使う立場からの「居心地」が挙げられよう。見学できるエリアと事務系エリアの間にはアトリウムなどを挟むことで距離をとりつつ気配を感じる工夫がなされているが、それでも完全ガラス張りでは落ち着かないと推測する。また、アトリウムにおける見る者と見られる者との関係は、ほとんど「旭山動物園のオランウータン館」のようなもので、デザインとしては良くても、果たしてこれが望ましい市民参加のあり方なのか、かなり微妙だ。

とはいえ、とにかくやってみるというチャレンジ精神は評価されていいと思うし、作家性や実験性に寛容なのは「ひろしま2045平和と創造のまち」の狙いでもあるだろう。建築ファンであればわざわざ足を運ぶだけの価値はある。平和公園から宮島口に広電で行くのであれば目の前を通ることになるので、ぜひ途中下車して見学していってもらいたい。

広島市西消防署
Hiroshima City Nishi Fire Station

#1:外観はルーバーで覆われている

#2:アトリウムを囲む形でガラス張りの諸室が配置されている

#3:奥のアトリウムに光を入れるため、展示スペースも透明

 #4:ルーバー(左)と諸室(右)の間には通路がある。

#5:外から見たルーバー

#6:中から見たルーバー
[参考文献・サイト]
1) 宮本和義+建築知識編集部 2002 「中国・四国を歩こう!建築グルメマップ2」 エクスナレッジ pp11


[行き方ガイド]
[路面電車] 広電「西観音町」電停から徒歩1分
バス路線は未調査。
作成:2004/5/9 最終更新:2009/1/6 作成者:makoto 使用カメラ:Canon PowerShotG3 & NikonD70
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