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安佐 INDEX
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P&C事業としては最も”遊び”の少ない建物
DATA
■設計:村上徹建築設計事務所
■所在地:広島県広島市安佐南区中須1-38-13
■用途:福祉センター、児童館
■竣工:2008年
■規模:敷地2019平米、建築1598平米、延床6150平米
■構造:S造 地上7階
付近の地図(mapion)
広島市の北部市街地の福祉拠点。福祉窓口、保健センター、児童館の合築である。著名な建築家を起用し良質な公共施設を整備する広島市のプロジェクト「ひろしま2045 平和と創造のまち(以下、P&C事業)」として建設された。P&C事業では「矢野南小」「西消防署」「基町高校」「中工場」と、全国区の建築家が続いていたが、ようやく地元広島のプロフェッサーアーキテクトである村上の作品が実現した(元々はこれがP&C事業の第1号案件だったようだ)。

実際に行ってみると、他のP&C事業案件と比べて”遊び”となる空間が少ないのに気付く。エントランスホールにしても面積・天高とも必要最小限で、特別写真映えする空間とはなっていない。もちろん、立面デザインやディテールには村上らしさがちりばめられているのだが、全体的に小さくまとまっている感じだ。

しかし、これは村上事務所のデザイン能力に帰結するものではなく、そもそも施主から要求された条件が過大で、許容ボリューム一杯に床を詰め込まざるを得なかったのが原因だろう。となると、あの丸いガラス面(写真#1の左側)も単なるデザインではないのでは?と思えてくる。住居系の立地から考えて、さては日影かと推測したらビンゴだった。

要求された床面積は、ほぼ許容限界に達するため、道路斜線制限と北側の日影規制から全体の形態を決定せざるを得なかった。 −(中略)− 上層の北側は日影規制の範囲内で最大限の床面積を確保するため、曲面を採用している。3階の北側コーナーにあるふたつの曲面もまた、日影規制による。
(雑誌「新建築」2008年10月号pp139より引用)

建物の構成は、大まかに言って、北側ボリュームが児童館で南側が福祉センターとなっており、比較的交通量の少ない東側道路沿いにメインエントランスが配置されている。南側立面は東側とは違い、メタリックなルーバーで覆われた直線的なデザインとなっている。あのルーバーにどれほどの効果があるのかは興味のあるところだ。

外構やエントランスホールなど、不特定多数の市民が触れる場所に作家性を付与された空間を確保できていないため、残念ながら万人に「ぜひ見に行くべき」とまでは言えない。ただ、最も見学が容易な村上作品であるのは間違いないので、氏のファンであれば足を運ぶ価値は十分にあるだろう。

安佐南区総合福祉センター
AsaMinami-ku Welfare Center
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1:東側壁面。メインエントランスを挟んで手前は児童館で奥が福祉センター。右に行くほど高さが低くなっているのはもちろん日影規制のため。 2:南側壁面 4・5:ステンレスのルーバー 6:1階駐車場からルーバー越しに外を見る 7:階段室付近。プロフィリットガラスによる曲面
 写真3〜7はクリックすると拡大表示します。
[参考文献・サイト]
1) 雑誌「新建築」2008年10月号

[行き方ガイド]
アストラムライン: 古市駅または大町駅から徒歩10分
JR可部線: 大町駅から徒歩10分
バス: 広交バス(オレンジ色のバス)「古市小学校前」バス停から徒歩5分
広島ガイド / 広島市内の交通ガイド
作成:2009/1/10 最終更新:2009/3/15 作成者:makoto 使用カメラ:NikonD90 使用レンズ:Tokina AT-X 124 PRO DX 12-24mm F4
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