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彩度を抑えるという発想。特に公共建築に望みたい。
DATA
■設計:広電建設
■所在地:広島県広島市西区横川町
■用途:駅
■竣工:2003年3月
■敷地面積:調査中
■構造:S造
■付近の地図(mapion)
都心に近い割に今まで目立たなかった横川(よこがわ)地区が近年注目されている。薄汚れていた駅前が一気に更新されたためだ。その中身はフレスタの改築、駅前広場の再整備、そしてJR横川駅と広電横川駅の同時改築である。改築にあたっては鉄道事業者と行政(国・市)の間で連携が取られており、一体感のある駅前広場になった。

広電横川駅改築のポイントは2つある。
1:従前の駅は道路中央部にあり(photo#5)JR横川駅まで距離があったため、よりJRの駅に近い場所に移動させ乗り換えの便宜を図る。
2:広電ではバリアフリーに優れたLRV(超低床車)を既に導入しているが、駅施設がバリアフリー対応でなくては意味がない。そこで、余裕ある広さのプラットホームを整備し、LRV乗り入れに備える。詳しくはこちら

また、十日市交差点のポイントを改修して「7号線」を復活させ、紙屋町から乗り換え無しで行けるようにした。
さらに近年横川以外のターミナル駅(広電広島港駅・広電西広島駅)も大屋根を備えたヨーロッパ指向の駅舎に改築されている。「そぉに投資して保つんかのぉ?」と心配になるほどの攻めの経営だ。日本におけるLRT運営のトップランナーとしての意気込みだろうか。

話を横川駅に戻そう。この建物の感想を簡潔に書くなら、「全てにおいてベストを尽くした設計・施工」だと思う。不満が無いわけではないが、設計者は限られた予算・スペース・与条件の中で最適解を導き出している。

○ 良いと思ったこと
1:全体的に彩度を抑えた(くすんだ)配色計画になっている。これなら汚れても目立たないし、むしろ時間が経つほど味わいが出てくる。
2:ヨーロッパでは一般的な大屋根を採用し、空間に広がりを持たせている。トラスの構造美をしっかり見せているのも良い。
3:奇をてらわず、評価の定まったデザインパターンを使用し、無難に仕上げている。本来これはアタリマエ過ぎることなのだが、それさえできない設計者の何と多いことか…。
4:広電の駅舎・JRの駅舎・バス溜まりのデザインが、まぁまぁ統一されている。
5:横川におけるまちづくりの象徴「復元バス」(1)を広場の中央に置き(photo#8)、その逸話をトランスに描いている(photo#2)。無表情なトランスに絵を描くことで落書き防止も期待できる。
× 不満に思ったこと
駅前広場に交通広場以外の機能が与えられていない。人々が滞留するスペースがない以上、本来これは「広場」とは呼べないだろう。当該事業の中心プレーヤーが鉄道事業者と国交省(道路部局)であるから、「交通をスムーズに流す」のが主目的で「都市に潤いを与える」ことがオマケ程度なのは当然と言えば当然だけど。


さて、この建築(構造物?)の最も良い点は、1の「くすんだ青〜緑系の配色を採用したこと」だ。ヨーロッパではこういった構造物に黒を使うことが多い(photo#10)が、日本の場合、例えば商店街アーケードはまず間違いなく白だ(photo#9)。「明るくないとお客さんが来ない」という論理は分からなくもないが、建てた後で「汚れる」ということを忘れていないか? 白かったものが薄汚れた時の醜さは今更書くまでもあるまい。だったら、黒系統の美しさを引き出すデザインにしてしまった方が良いのではないだろうか。

ともかく駅前の整備は完了した。次の課題は周囲に氾濫する看板類(主に消費者金融)の撤去だろう。美観上大問題の窓面広告は屋外広告物法の対象外(貼っているのは屋内だから)で無規制だが、独自条例で取り締まることは可能。駅前整備をゴールとせず、更なる変身を期待したい。


[路面電車とLRTに関する考察]
広島電鉄横川駅
Yokogawa Station

#1:全景。駅施設は広電が誇る5000系LRVを想定しているが、LRVの乗り入れはまだ。ちなみに、路面電車のすぐ奥にはJR横川駅がある。

#
2:トランスをメッセージボード的に使っている。やれることは全部やっていることが分かる。

 #3:バス溜まりの様子。デザインコントロールがなされていることが分かるだろうか。

#4:従前の駅前広場。

 #5:従前の広電横川駅。道路上にあるため交通にも支障があり、またJR横川駅から離れていた。

#6:JR横川駅の改札からはこう見える(ちょうど#1とは真逆になる)。トラスの構造美の見せ方が上手い。路面電車の駅としては欧州の諸都市に全く見劣りせず、良質な都市ストックの追加が果たされている。

#7:支柱のディテール。花とかちゃんとメンテしてくれるかなぁ。

 #8:横川におけるまちづくりの象徴はこの「復元バス」(1)

#9:本通りのアーケード(広島)。デザイン的にはかなりまともな部類だけど、やっぱり白いと汚れが目立ってしまう。それでも白でいきたいなら継続的にメンテする覚悟を持って欲しい。

 #10:ポツダム広場駅の入口(ベルリン)。かなりミース的。
[補注]
(1) あまり知られていないが、初の国産路線バスが走ったのはこの横川である(1905年、横川・可部間)。ただし当時の車両技術や道路状況は悲惨なもので、事業としては失敗に終わった。最近このバスが復元され駅前広場に展示されている(photo#8)。自走可能だが公道を走ることはできない。中国新聞の関連記事(2004/3/29)

[行き方ガイド]
[広電の場合]
 紙屋町西・本通りから…7号線「横川行き」に乗車し終点下車。  西広島から…「土橋」にて8号線「横川行き」に乗り換え終点下車。
[JRの場合]
 横川-広島間は5分程度。この区間は山陽本線と可部線が併走している。
市内各所を「横川経由○○行き」というバスが大量に走っているので、そのどれかに乗ればよい。

作成:2004/5/13 最終更新:2007/5/12
作成者:makoto 使用カメラ:Canon PowerShot G3
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